AI(人工知能)とは、コンピューターのアルゴリズム、計算機を動かす方法を書いたプログラムです。AIの暴走が心配なときは、賢くなりすぎないように、アルゴリズムが勝手に自己増殖しないように、歯止めをかければいいでしょう。
2017年、米カリフォルニア州に世界の専門家が集まり、人工知能の開発において守るべき行動原則を話し合いました。将来、人の手を経ずに自分で質や量を向上させる人工知能システムを設計するのなら、厳格な安全管理の下に置かねばならないとしています。
具体的にどうするかは、長期的な課題になるでしょう。
人間の仕事を奪うのか
ロボットや人工知能が人間の職を奪うという懸念をよく耳にします。しかし、人間はこれまでずっと、労働や作業を機械に代行させて、便利で豊かな社会を築いてきました。ある程度自律的に動ける知能を備えた労働ロボットの普及は、歓迎できることだと思います。
もちろん失職者の生活保証と再就職の支援は必要ですが、それはロボットや人工知能だけの問題ではありません。感染症の流行で職を奪われた人々への対応と同じで、常に備え、充実させるべき社会保障政策です。
ただし、介護現場への導入に関しては、要介護者をロボットに任せきりにしていいのか、という問題はあります。
ロボット任せにすると、人間との関係が断ち切られた高齢者の孤立が深まり、心身の状態の悪化を招く恐れがあります。人とのつながりを保つような運用が必要です。
創造性とAI
近年の生成系AIは、文章の執筆や音楽、絵画、映像制作といった分野にも進出しています。これにより、人間の「創造性」とAIの「模倣的創造」の違いが議論されています。
AIは過去のデータを学習し、新しい組み合わせを生み出すことに優れています。しかし、ゼロから全く新しい発想を生み出す力はまだ限定的です。そのため、人間の直感や経験と組み合わせることで、より豊かな創作活動が可能になると考えられます。
芸術の世界においても、AIが人間の表現を奪うのではなく、補完し、刺激を与える存在として位置づけられるべきでしょう。
AIと倫理
AIの利用が広がるにつれて、倫理的な問題が浮上しています。例えば、個人情報の利用や監視への悪用、生成された偽情報の拡散などです。これらはAIの技術そのものよりも、社会のルールや運用の仕方に依存しています。
AIを安全に活用するには、透明性と説明責任が不可欠です。アルゴリズムの意思決定プロセスを人間が理解し、必要に応じて修正できる体制を整えることが求められます。
未来への展望
AIは、医療診断、災害予測、エネルギー効率化など、社会課題の解決に大きな可能性を秘めています。人間の判断や労働を置き換えるだけでなく、人間と協働して新しい価値を創出する方向へと進んでいくでしょう。
そのためには、技術的な安全性に加えて、教育や制度設計、国際的な協調が不可欠です。AIが人類にとって脅威ではなく、希望の道具となるかどうかは、私たちの選択次第です。